【公式はイージーリンクのみ】ロレックスのブレス調整は自分でどこまでできるのか?

朝はぴったりだったはずなのに、夕方になると時計がずり落ちてきます。これが気になりだして、自分のブレスをどこまで自分でいじっていいのかを調べ始めました。
ロレックスのブレスには、工具なしで長さを変えられる仕組みが付いています。ただ、それがどのモデルにどう付いているのか、自分はきちんと把握していませんでした。2本持っているのに、です。
そこで公式のユーザーガイドを3冊ダウンロードして読み直しました。サブマリーナー、GMTマスターII、デイトジャストの日本語版です。読んでみたら、公式が手順まで説明しているのは伸縮機構の動かし方だけで、コマの抜き差しについては一行も書かれていませんでした。
- ロレックス公式が「自分でやっていい」と手順まで書いている範囲がどこまでか
- グライドロックとイージーリンクの違いと、それぞれ何ミリ動かせるのか
- 自分のブレスにどちらが付いているかの見分け方
- 伸縮機構で足りないときに待っている、コマの抜き差しという作業の中身
- 正規店に持ち込むという選択肢を、公式がどう案内しているか

結論:工具を使わずに動かせるところまでが、自分の担当です
先に自分の結論を書きます。ロレックスのブレス調整のうち、自分でやることにしたのはグライドロックとイージーリンクを動かすところまでです。コマの抜き差しは正規店に持ち込みます。
理由は単純で、公式がその線で説明を分けているからでした。伸縮機構については、ユーザーガイドに操作手順が図付きで載っています。一方でコマについては、手順も工具も、そもそも何個外せばいいのかという目安すら書かれていません。書いていないことを自分の判断でやる理由が、自分には見つかりませんでした。
ただしこれは「絶対に自分でやるな」という話ではありません。ネジをなめても、ブレスに傷を付けても、それは自分の責任になります。そこを引き受けられるかどうかで決まる話だと思っています。

説明書を3冊並べて読むまで、自分の2本に別々の仕組みが付いていることを分かっていませんでした。持っているだけでは読めていないものですね。
まず、自分のブレスに何が付いているかを確かめます
調整の話に入る前に、確認することがひとつあります。自分のブレスのクラスプに、どの伸縮機構が付いているかです。ここが分かっていないと、そもそも工具が要る話なのか要らない話なのかの判断ができません。
グライドロック(サブマリーナーなど)
クラスプのふたを開けると、内側にギザギザした刻みが並んでいるのがグライドロックです。公式のサブマリーナーのユーザーガイドには、こう書かれています。
オイスターブレスレットに搭載されたロレックス グライドロック エクステンションシステムは、ブレスレットの長さを約2mm単位で約20mmまで延長することができます。
ロレックス公式ユーザーガイド「サブマリーナー」(IMR-SUB-JA-20)
2mm刻みで、合計20mmまで伸ばせます。もともとはダイビングスーツの上から着けるための仕組みなので、幅が大きく取ってあります。日常で使う分には、この20mmの中で季節も時間帯も吸収できてしまいます。
イージーリンク(GMTマスターIIなど)
クラスプの先に、折りたたまれたコマが1つ隠れているのがイージーリンクです。引き出すと約5mm伸びます。GMTマスターIIのユーザーガイドでは、オイスターブレスレットとジュビリーブレスレットの両方に搭載されていると書かれていました。
注意したいのはデイトジャストのほうです。同じイージーリンクの説明が載っているのですが、文面が違います。デイトジャストのユーザーガイドには「一部のモデルに装備しています」と書かれていて、全部に付いているとは書かれていません。デイトジャストは組み合わせの選択肢が多いモデルなので、自分の個体を見て確かめるしかなさそうです。
どちらも付いていないこともあります
年代が古いブレスには、この手の伸縮機構が付いていません。クラスプの内側にバネ棒を差し替える穴が2〜3個あって、そこで半コマぶんだけ動かせるというタイプです。うちには現物が無いので、これ以上は確かめられませんでした。

グライドロックの動かし方は、公式に5ステップで書いてあります
サブマリーナーのユーザーガイドに載っている手順は、次のとおりです。文章はこちらでまとめていますが、順番と中身は公式のままです。
- セーフティキャッチを開きます
- クラスプを開きます
- ブレスレットを引き出して、刻みから外します
- 好みの長さに位置を調節します
- ブレスレットを元に戻して、ロックします
最後の工程について、公式は「カチッと音がするまで押して固定します」と補足しています。この一文が地味に大事で、音がしていない状態は、刻みに入りきっていないということです。腕に着けているうちにずれてくるとしたら、たいていここです。
工具は出てきません。爪でつまんでスライドさせるだけの作業です。
イージーリンクは、引き出すか、たたむかだけです
こちらはもっと単純でした。公式の説明を引きます。
独自の設計により、リンクを引き出したり、折りたたんだりして、工具などを使わずにブレスレットの長さを約5mm調節することができます。
ロレックス公式ユーザーガイド「GMTマスターII」(IMR-GMT-JA-22)
公式のほうから「工具などを使わずに」と書いてくれているのが、イージーリンクのいいところです。段階はありません。出すか、しまうか。この2択です。
こちらも固定するときは、グライドロックと同じく「カチッと音がするまで押して固定します」と書かれています。たたんだつもりで浮いていると、クラスプが閉じにくくなります。
うちの2本は、仕組みが違いました
1本目のグリーンサブにはグライドロックが、2本目のGMTマスターIIにはイージーリンクが付いています。同じロレックスで、どちらもオイスターブレスなのに、手首に合わせる方法が別物でした。
数字にすると、グリーンサブは20mmの幅を2mm刻みで使えて、GMTマスターIIは5mmを1回だけ使えます。4倍の差があります。
これに気づいてから、2本の着け心地の感じ方が変わりました。グリーンサブのほうがその日の手首に合わせやすいのは、自分の慣れではなく単にブレスの仕組みだったわけです。GMTマスターIIで「今日はちょっときついな」と思う日があっても、5mmを出すか出さないかしか選べません。中間がありません。

2本目を選んだときはケース径と色ばかり見ていて、ブレスの仕組みまでは比べていませんでした。次に買うことがあれば、ここも見ます。
伸縮で足りないときが、コマの抜き差しです
買ったばかりの状態から大きく詰めるときは、伸縮機構では届きません。コマそのものを外す作業になります。ここから先が、公式のユーザーガイドに一切書かれていない領域です。
ネジ式とピン式があります
コマのつなぎ方には、横から小さなネジで留めているタイプと、ピンを押し込んで留めているタイプがあります。現行のオイスターブレスはネジ式です。マイナスの精密ドライバーで回して抜くことになります。
ドライバーの太さが合わないと、ネジの溝をなめます。一度なめると、そのコマは自分ではどうにもなりません。ロレックス専用をうたうドライバーが売られているのは、この失敗が多いからだと思います。
左右のバランスという問題があります
もうひとつ、数の話があります。コマを2個外すとして、片側から2個抜くのか、左右から1個ずつ抜くのかで、クラスプの位置が変わります。クラスプが手首の真裏から外れると、着けたときに違和感が出ます。
奇数個を外すときは、どちらかに寄せるしかありません。この判断も公式には書かれていないので、正規店に任せたときは店員さんが決めてくれていたはずです。
失敗したときに戻せるかどうか
自分が一番ためらったのはここです。ネジをなくすこと、ドライバーが滑ってブレスの面に傷が入ること。どちらも起きてしまえば元には戻りません。
ブレスに入った傷については、オーバーホールに出したときの研磨で目立たなくなる可能性はあります。ただ研磨は研磨で、頼むかどうかを先に決めておく話になります。そのあたりはロレックスの研磨はするべきかに書きました。自分で付けた傷を、あとから研磨で消してもらう前提で作業するのは順番が逆だと思っています。

正規店に持ち込む、という窓口は公式に書いてあります
ユーザーガイドを3冊読んで、いちばん意外だったのがこの一文でした。3冊とも、末尾の「ワールドワイドサービス」のページに同じ文が載っています。
ロレックス正規品販売店では、ブレスレットのサイズ調整やオーバーホールなど、時計の機能やアフターサービスに関するご相談を承っております。
ロレックス公式ユーザーガイド(サブマリーナー/GMTマスターII/デイトジャスト 共通)
オーバーホールと並べて、ブレスレットのサイズ調整が名指しで書かれています。公式が想定している窓口は、ここです。
ちなみに、ロレックス公式サイトの「よくあるご質問」のほうも見てみました。お手入れの章には、磨いてもいいか、ゼンマイを巻く必要があるか、スポーツをしても大丈夫か、といった質問が並んでいます。ブレスレットのサイズ調整についての項目は、ここには立っていませんでした。FAQに無くてユーザーガイドにはある、という分かれ方をしています。
料金がいくらかかるのか、購入した店とそれ以外で扱いが変わるのかまでは、公式には書かれていません。ここは店ごとの運用になるはずなので、確かめられませんでした。
腕の太さは、1日の中でも変わります
そもそも、なぜ伸縮機構が要るのかという話です。手首の太さは一定ではありません。朝と夕方で違いますし、夏と冬でも違います。運動したあと、お酒を飲んだあと、長時間歩いたあと。どれでも変わります。
だからブレスのサイズは、1点に合わせるのではなく、幅で合わせるほうがうまくいきます。コマの抜き差しで「だいたいの位置」を決めて、その日ごとの差を伸縮機構で埋める、という二段構えです。
この考え方で見ると、グライドロックの20mmという幅はかなり優秀です。2mm刻みで10段階あるので、1日の中で2回動かしても対応できます。イージーリンクの5mmは、季節の変わり目に1回動かす、くらいの使い方が合っていそうです。
逆に言うと、朝の一番細い状態でぴったりに合わせてしまうと、夕方に逃げ場がなくなります。詰めるときは、少しゆるめで止めておくほうが無難だと思います。
外したコマは、箱の中に戻しました
調整で外したコマは、捨てずに取っておく必要があります。売るときに付属品として扱われますし、手首が変わったときに戻すこともあります。
うちは付属品の整理をしたときに置き場所を決めていて、余りコマも保証書も含めて、全部まとめて箱の中に入れています。その経緯はロレックスの付属品は何を残せばいいのかに書きました。コマだけを別の引き出しに入れると、まず行方不明になります。
ネジも一緒です。コマを抜くと、ネジが1本余ります。これも同じ場所に入れておかないと、戻したくなったときに足りません。
サイズ調整では直らないものもあります
ブレスまわりで気になることが出てきたとき、サイズ調整で解決する話とそうでない話が混ざります。分けておいたほうがいいです。
ブレスのガタつき
コマ同士の接続部がゆるんで、持ち上げたときにカチャカチャする状態です。これはサイズの問題ではなく、部品が摩耗している状態なので、詰めても伸ばしても変わりません。オーバーホールで診てもらう話になります。洗っても直らないものとしてロレックスの洗浄は自宅でどこまでやれるかにも書きました。
ブレスの伸び
長く使ったブレスが全体的に伸びてくる現象です。これも研磨では戻りませんし、コマを1個抜いて帳尻を合わせるのは根本的な対処ではありません。部品の交換になります。
うちの2本はまだオーバーホールに出していないので、どちらの症状も体験していません。出したときに何を言われるかは、そのとき書きます。
自分でやる人と、持ち込んだほうがいい人
ここまで調べたうえで、自分なりに分けてみました。伸縮機構の操作は全員がやっていい前提で、コマの抜き差しをどうするかの話です。
自分は下の箱です。工具を買えばできそうだとは思っていますが、100万円を超えるものに対して、練習の1本目を自分の時計でやる気にはなれませんでした。

ここは自信を持って決めたというより、今のところ踏み切れていないだけです。安い時計で何度か練習したら、考えが変わるかもしれません。
まとめ
ロレックスのブレス調整を自分でどこまでやれるか、公式のユーザーガイド3冊を読んで引いた線は、伸縮機構までが自分、コマの抜き差しからは正規店、というところでした。
- グライドロックは約2mm刻みで約20mmまで。工具は要りません
- イージーリンクは約5mm。公式が「工具などを使わずに」と明記しています
- デイトジャストのイージーリンクは「一部のモデル」で、全部には付いていません
- コマの抜き差しは、手順も工具も公式には書かれていません
- ブレスレットのサイズ調整は、正規品販売店で相談できると公式に書かれています
今日やることを1つ挙げるなら、クラスプを開けて中を見ることです。刻みが並んでいればグライドロック、折りたたまれたコマが1つあればイージーリンクです。それが分かるだけで、夕方のずり落ちはその場で直せます。
ブレスまわりの話は、洗浄や研磨と地続きになっています。着けているうちに気になってくる順で言うと、サイズ、汚れ、傷、という並びでしょうか。汚れのほうはロレックスの洗浄は自宅でどこまでやれるかに、傷のほうはロレックスの研磨はするべきかにまとめています。









