【公式は「ご要望に応じて」】ロレックスの研磨はするべきか|オーバーホールで頼むか断るかを先に決めました

グリーンサブのブレスを、先週あらためて明るいところで見ました。コマの側面に、細いスレ傷が何本も入っていました。2024年の春から日常的に着けているので、当たり前といえば当たり前です。
それで「研磨に出せば消えるのかな」と考えて、そのまま2時間ほど調べ物をしてしまいました。オーバーホールはまだ一度も出していないので、研磨も当然やったことがありません。調べているうちに、自分がいちばん知りたかったのは料金でも仕上がりでもなく、そもそもロレックスに研磨を頼むかどうかを、自分が決められるのかという一点だと分かってきました。
その答えは、ロレックスの公式サイトに書いてありました。ただし、2か所に書いてあって、書き方が違っていました。
- ロレックス公式のオーバーホールに、研磨(仕上げ)がどう組み込まれているか
- 公式サイトの2か所で、研磨の書かれ方が違っていること
- 研磨で目立たなくなる傷と、研磨では消えない傷の分かれ目
- 研磨だけを単体で頼めるのか、正規と民間で何が変わるのか
- よく言われる「研磨痩せ」「3回まで」がどこまで確かめられるか
- 自分が2本をどうするつもりか、出す前に決めておいた4つのこと

結論:いまのところ、研磨は頼まないつもりでいます
先に立場を書きます。自分は次のオーバーホールのとき、研磨(仕上げ)は外してもらうつもりでいます。グリーンサブのスレ傷は、たしかに気になります。それでも、いま消したい傷が1か所も具体的に言えなかったからです。
「なんとなく全体をきれいにしたい」で頼むと、削らなくていいところまで作業対象になります。ロレックスの仕上げは、面ごとにポリッシュとサテンが塗り分けられていて、その境目の線がデザインそのものです。そこを毎回いじる理由が、自分の場合は見つかりませんでした。
ただしこれは「研磨は悪いことだから、やめたほうがいい」という話ではありません。売る予定がある人と、手放す気がない人とでは、答えがまるごと入れ替わります。自分は後者だった、というだけです。
公式サイトの書き方が、2か所で違っていました
調べていていちばん驚いたのがここでした。ロレックスの公式サイトには、オーバーホールの内容を説明している場所が2つあります。どちらも同じサイトの中なのに、研磨の扱いが微妙に違って読めます。
よくあるご質問では「行われます」と書かれています
「ロレックスのアフターサービスには何が含まれますか?」への答えの中に、こうあります。ケースとメタルブレスレットには光沢を保つよう綿密に表面の研磨仕上げが行われます、という一文です。
これだけを読むと、オーバーホールに出したら研磨は標準でついてくると受け取れます。自分も最初はそう理解して、「じゃあ断れないのか」と思いました。
オーバーホールの手順のページには「ご要望に応じて」とあります
ところが、別のページ「ロレックスのオーバーホールの手順」を開くと、ケースとブレスレットの仕上げという工程の説明にこう書かれています。ケースは完全に分解されます、ご要望に応じて、ミドルケース、ベゼル、バックケースおよびブレスレットに、本来の仕上げに従ってポリッシュ仕上げまたはサテン仕上げを施します、という文です。
「ご要望に応じて」が入っています。つまり研磨をどうするかは、頼む側が言えば変えられる工程として書かれているということになります。前のページで諦めかけていたので、ここは素直にありがたい発見でした。
自分は、こう受け取ることにしました
2つを並べると、標準では仕上げまで含めて1つのオーバーホールとして考えられていて、希望があれば内容を相談できる、という運用に読めます。ただしこれは自分の読み方であって、公式がそう明言しているわけではありません。
なので、「断れます」と決めつけて出すのは早いです。実際の手順では、預けたあとに時計技術者が状態を点検して見積もりを作り、それに了承してから作業が始まります。仕上げの扱いを相談するなら、この見積もりの段階が一番はっきりしています。

ネットの記事を10本読むより、公式の2ページを読み比べたほうが早かったです。公式のFAQと手順ページ、書いてあることが同じとは限らないんですね。
そもそも研磨は、何をしている作業なのか
研磨は、磨いて傷を消しているというより、傷が入った表面を薄く削り落として、下から出てきた面をもう一度仕上げ直している作業です。クリームで曇りを取るような話とは、根本的に別物でした。
ポリッシュ仕上げとサテン仕上げ
公式の手順ページに出てくる言葉がそのまま種類の名前です。ポリッシュ仕上げは鏡のように映り込む面、サテン仕上げは細かい筋目が入った艶消しの面を指します。
たとえばサブマリーナーのブレスは、中央のコマの上面がサテンで、側面がポリッシュ、という具合に面ごとに使い分けられています。この塗り分けが崩れると、きれいになったのに雰囲気が変わって見える、という現象が起きます。
「本来の仕上げに従って」が引っかかりました
公式の文にある「本来の仕上げに従って」は、読み飛ばしそうになりますが大事な部分だと思っています。元の面がサテンならサテンで、ポリッシュならポリッシュで戻す、という宣言だからです。
逆に言えば、面の区別を無視して全体をピカピカに磨く作業は、ロレックスが言っている仕上げとは違うものになります。どこに出すかを考えるとき、自分はここを基準にしました。
消える傷と、消えない傷があります
「傷が気になるから研磨」と一括りにしていたのですが、調べるとかなり分かれます。出す前に自分の時計の傷がどれに当たるか見当をつけておくと、話が早くなります。

自分のグリーンサブで気になっていたのは、ブレス側面の細かいスレ傷でした。これは上の図で言うと一番上の行に当たります。見た目の印象が大きく変わるのはむしろここなので、研磨の効果が一番わかりやすく出るのは、ケースよりブレスだと思います。
風防の傷は、そもそも研磨の話ではありません
現行のロレックスの風防はサファイアクリスタルで、非常に硬い素材です。硬いぶん、傷が入ると磨いて均すという発想が合いません。風防に傷が入った場合は、磨くのではなく交換で対応するのが基本になります。
ガラス研磨という言葉で検索している人が一定数いるのですが、サファイアクリスタルに関しては、磨いて直すものだと思って出すと話が食い違います。
ブレスの伸びも、研磨では戻りません
着けているとカチャカチャする、ブレスが伸びてきた気がします。これは表面の問題ではなく、コマとピンが摩耗して遊びが増えている状態です。表面を磨いても関係がないので、研磨とは切り分けて相談したほうが早いです。
研磨だけを単体で頼むことはできるのか
関連キーワードに「ロレックス 研磨のみ」「ロレックス オーバーホール 研磨なし」が並んでいて、同じことを考えている人は多そうでした。ここは正規と民間で事情が変わります。
正規は、オーバーホールとセットで考えたほうが早いです
公式の説明を読むかぎり、仕上げはオーバーホールの工程の1つとして組み込まれています。ケースを完全に分解したうえで面ごとに仕上げ直す、という手順なので、外装だけ触って返す想定にはなっていません。
実際、預けたあとの流れも、点検、見積もり、了承、作業、検査、返却という一本道です。返ってくるときには、2年間有効な国際サービス保証書がつきます。ここは正規の強いところだと思います。
民間の修理店は、研磨だけを受けてくれるところがあります
外装の仕上げだけを単品のメニューとして出している修理店は、探すと見つかります。納期も料金も正規より抑えられる場合が多く、そう案内されています。
ただし、面の塗り分けをどこまで再現してくれるかは店によります。「きれいにします」と「本来の仕上げに戻します」は、同じ言葉ではありません。頼むなら、作業前後の写真を見せてもらうか、サテン面をサテンで戻すのかを先に確認したほうが安全だと思っています。
ブレスだけ、ベゼルだけ、という頼み方もあります
公式の手順ページには、ミドルケース、ベゼル、バックケース、ブレスレットという4つの名前が並んでいます。つまり仕上げの対象は部位ごとに分かれていて、全部か何もしないかの二択ではありません。
自分が気になっているのはブレスの側面だけなので、頼むとしたらそこだけを指定することになると思います。ケースのラグは形が命なので、触らないでほしいというのが正直なところです。部位を指定できるなら、削る量そのものを減らせます。
研磨したかどうかは、見て分かるのか
「研磨されたロレックスの見分け方」という質問が、よくある質問の一覧に入っていました。自分の時計の話ではなく、中古を買うときに気にする人が多いのだと思います。
見分けるときによく挙がるのは、面と面の境目の線がぼやけていないか、ラグの先が丸まっていないか、サテン面の筋目の向きが揃っているか、といったあたりです。削られると、本来は鋭く出ているはずの線がなだらかになります。
とはいえ、これは実物を何本も見比べてきた人の目の話で、写真だけで判断できるものではありません。自分も新品で買った2本しか触っていないので、見分けられる自信はまったくないです。中古を検討するなら、そこを見てくれる店で買うほうが確実だと思います。
料金は、公式サイトには書いてありません
「ロレックスの研磨費用はいくらですか」は、よくある質問の中で一番需要が高い問いでした。それなのに、公式サイトには研磨の金額もオーバーホールの金額も掲載されていません。
公式が書いているのは、費用は必要な作業の種類と時計の状態によって変わること、時計技術者が状態を点検して見積もりを作り、了承のうえで作業を始めること、この2点だけです。定価表がないというより、実物を見てからでないと金額が出せない仕組みになっていると読むほうが近いと思います。
民間の修理店は金額を公開しているところが多いので、目安を知りたいだけならそちらを見るほうが早いです。ただし素材(ステンレス、コンビ、金無垢)で料金が変わるのが普通なので、自分のモデルで見ないと意味がありません。
納期のほうは公式に書いてあります。オーバーホールの作業日数は約1カ月です。手元から1か月消えると考えると、普段使いの1本しか持っていない人には、そこそこ重い話だと思います。
「研磨痩せ」と「3回まで」の出どころを探しました
研磨の話を調べると、必ず出てくる言葉が2つあります。削りすぎて時計が痩せる「研磨痩せ」と、研磨は3回くらいが限度という数字です。
気になったので公式サイトの中を探しました。ロレックスの公式サイトには、研磨痩せという言葉も、回数の上限も見当たりませんでした。自分が見た範囲では、という留保つきです。
とはいえ、削って仕上げ直す作業である以上、回数を重ねれば材料が減っていくのは理屈として分かります。エッジが丸くなる、ラグが細くなる、という変化が起きうること自体は、修理の現場からそう案内されています。なので自分は、「回数に決められた上限はないが、無限でもない」くらいの温度感で受け止めました。
少なくとも、3という数字を根拠に「あと何回しか磨けない」と計算するのは、出どころがはっきりしないまま使っている感じがして、自分は採用しないことにしました。

公式が言っていないことを、公式が言ったみたいに書いてしまうのが一番まずいと思っています。日付変更禁止時間を調べたときも同じことをやりかけました。
売るときに、研磨は不利になるのか
ここは自分に当てはまらない話なので短く書きます。中古市場では未研磨の個体が好まれる、という話をよく見ます。一方で、査定の前にきれいにしておくと印象が良くなる、という逆の話もあります。
両方を並べて眺めたうえで、自分の結論はこうなりました。売る予定がないなら、リセールを理由に研磨をためらう必要はありません。逆に売る可能性があるなら、磨くかどうかは買取の見積もりを取ってから決めれば済みます。順番を逆にすると取り返しがつきません。
自分は2本とも手放す予定がないので、ここは判断材料から外しました。付属品を全部箱に入れて保管しているのも、売るためというより、ただ揃っているほうが気持ちがいいからです。
自分で磨くのは、早い段階であきらめました
「自分でロレックスを研磨してもいいですか」も需要の高い質問でした。市販の研磨クロスやコンパウンドを使えば、細かい傷は確かに目立たなくなります。自分も一瞬だけ調べました。
やめた理由は単純で、面の塗り分けを手で再現できる自信がまったくなかったからです。サテン面をクロスで擦れば、その部分だけ半端に光ります。戻すには結局プロに出すことになるので、自分でやる意味が薄いと判断しました。
ロレックスが毎日のお手入れとして案内しているのは、時折マイクロファイバークロスで拭くことと、ケースと金属ブレスレットを石鹸水と柔らかいブラシで洗うことだけです。研磨剤の話は出てきません。自宅でどこまでやれるかは、以前 ロレックスの洗浄は自宅でどこまでやれるか にまとめました。
わが家の2本を、どうするか決めました
2本ともオーバーホールはまだ出していません。現行モデルはおよそ10年以内が目安と公式が書いていて、その考え方は ロレックスのオーバーホール頻度は10年でいいのか で調べたとおりです。なので研磨の判断も、まだ数年先の話ではあります。
それでも先に決めておいたのは、見積もりの場でその場で考えると、たぶん「お任せします」と言ってしまうと分かっていたからです。大丸東京でデイトナを断られたときも、聞きたかったことを1つ聞きそびれています。同じ失敗をしたくありませんでした。

グリーンサブは、たぶん研磨を外します
2024年2月に買って、いちばん長く着けている1本です。ブレスのスレ傷はもう数えきれません。ただ、その傷は自分が18日通って手に入れて、そのあと毎日着けてきた分だと思っています。消すと、そのぶんも消えます。
感傷だけで決めているわけではなくて、実務的にも理由があります。この1本は今後もローテーションの主力なので、磨いてもすぐ同じ状態に戻ります。
GMTマスターIIは、そのとき考えます
2026年1月に2本目として迎えたほうは、まだ日が浅くて、傷らしい傷がありません。10年後にどうなっているかで判断が変わるので、いまは保留にしました。
決めていないことを決めていないままにしておく、というのも一応の判断だと思っています。
研磨を頼んだほうがいい人、いまは断っていい人
まとめ
ロレックスの研磨について調べて、自分がたどり着いたのは次の点でした。
- 公式のオーバーホールには、ケースとブレスレットの仕上げという工程が含まれています
- 手順のページには「ご要望に応じて」とあり、内容を相談する余地はありそうに読めます
- 仕上げは「本来の仕上げに従って」行われる、と明記されています
- 料金は公式に掲載がなく、実物を点検した見積もりで決まります。納期は約1カ月です
- 研磨痩せや回数の上限は、公式サイトには書かれていません
- 風防の傷とブレスの伸びは、研磨では対応できません
そのうえで自分は、次のオーバーホールでは仕上げを外してもらうつもりでいます。消したい傷を具体的に言えるようになったら、そのとき考え直します。
もし近いうちにオーバーホールに出す予定があるなら、預ける前に「仕上げを含めるか外すか、金額がどう変わるか」の2つだけメモに書いて持って行ってください。見積もりの場は思ったより短くて、その場で考える時間はありません。









