【公式は石鹸水だけ】ロレックスの洗浄は自宅でどこまでやれるか|正規店に出す線引きも調べました

正規店で2本買いました。1本目が2024年、2本目が2026年1月です。買うまでの話はこのブログで何度も書いてきたのですが、買ったあとのことで手が止まりました。
ロレックスは水で洗っていいのか。石鹸を使っていいのか。超音波洗浄機に入れたら壊れるのか。調べてみると、サイトごとに書いてあることが少しずつ違います。「毎日セーム革で拭く」と書いてある記事もあれば、「週1回の水洗いは危険」と書いてある回答もありました。どれを信じればいいのか分かりません。
それで、ロレックスの公式サイトを読みにいきました。公式が案内しているお手入れは、たった3行で終わります。この記事は、その3行を出発点にして、自宅でどこまでやれるのか、どこから先は正規店に任せるのかを整理したものです。
- ロレックス公式が案内しているお手入れの中身(拍子抜けするほど短いです)
- 自宅で洗う前に確かめる3つのことと、洗ってはいけない状態
- 石鹸水で洗う6ステップの手順と、用意するもの
- 超音波洗浄機・熱い湯・研磨剤入り洗剤がなぜまずいのか
- シャワー・海・温泉はどこまで大丈夫か(公式が触れている範囲と、触れていない範囲)
- 洗浄・研磨・オーバーホールの違いと、正規店に出す判断の線引き

結論:公式が案内しているのは石鹸水と柔らかいブラシだけです
ロレックスの公式サイトには「ロレックスのお手入れ」というページがあります。そこに書かれている内容を要約すると、次の3点になります。
- 時折マイクロファイバークロスで拭く
- ケースと金属製ブレスレットは、石鹸水と柔らかいブラシで洗える
- 洗う前に、リューズをケースにしっかりねじ込む
以上です。専用のクリーナーも、特別な道具も出てきません。「よくあるご質問」のページにも同じ趣旨が書かれていて、そちらにはレザーストラップは除く、という但し書きが加わります。
検索で上に出てくる記事は、どれも数千字から1万字を超えています。読むと歯ブラシの毛先の硬さや爪楊枝の使い方まで丁寧に解説されていて、たしかに参考になりました。ただ、それらの多くはロレックスが言っていることではなく、書いた人の工夫です。区別しておいたほうがいいと思いました。

公式が短いのは、不親切だからではなくて、「その程度で済むように作ってあります」という意味だと受け取りました。
洗う前に確かめる3つのこと
石鹸水で洗えると言っても、どんな状態でも洗えるわけではありません。水に近づける前に、次の3つを確認してください。
① リューズが最後までねじ込めているか
これがいちばん大事です。ロレックスの防水性能は、オイスターケースが密閉されていることで成り立っています。そして密閉のかなめがリューズです。公式サイトは、リューズがしっかりねじ込まれることで潜水艦のハッチのように閉じる、という言い方をしていて、時刻や日付を合わせたあとは必ず最後までねじ込むように、と繰り返し注意しています。
リューズが少しでも浮いている状態で水をかけると、そこから入ります。「たぶん締まっているだろう」で済ませないでください。指先で時計回りに回して、これ以上回らないところまで入っているかを、洗面台の前で毎回確かめます。
ねじ込もうとしたときに引っかかる、あるいは固くて最後まで入らない場合は、その日は洗いません。ネジ山かパッキンに何かが起きています。
② 前回のオーバーホールから何年たったか
防水性能は買ったときの数字がずっと続くものではありません。ケースとリューズにはパッキンが入っていて、これが少しずつ硬くなります。オーバーホールでは、分解と注油のほかに防水に関わる部品の交換と防水検査が行われます。つまり防水性能はオーバーホールのたびにリセットされるもので、出していない期間が長いほど、公表されている数字と実際の状態は離れていきます。
自分の2本は、まだ一度もオーバーホールに出していません。ですから今どれだけ防水が残っているのか、正直なところ分かりません。オーバーホールの頻度についてはロレックスのオーバーホール頻度は10年でいいのかで別に調べたのですが、そこで出た結論も「10年は長すぎるかもしれない」というものでした。
10年を超えている、あるいは一度も出していないという方は、流水でざぶざぶ洗うのは避けて、固く絞ったクロスで拭くところまでにしておくのが無難です。
③ 風防・ベゼル・ブレスに欠けやガタはないか
風防のふちが欠けていませんか。ベゼルが妙に軽く回りませんか。ブレスのコマがカチカチと鳴りませんか。こうした症状があるときは洗いません。水の入り口になり得るところが増えている状態です。
この3つのどれかに引っかかったら、自分で洗うのをやめて正規店に持っていきます。洗浄のつもりで水を入れてしまうと、修理代のほうがはるかに高くつきます。
自宅での洗い方は6ステップです
確認が済んだら、実際の手順に入ります。作業そのものは5分もかかりません。時間がかかるのは乾かすほうです。

1. リューズをねじ込む
前の章のとおりです。最後まで入っていることを指で確かめます。ここだけは省略できません。
2. ぬるま湯で表面の汚れを流す
30度から35度くらい、手を入れて熱くないと感じる温度にします。熱い湯は使わないでください。パッキンは温度で膨らんだり縮んだりします。急に温めることで密閉が甘くなる可能性があるので、わざわざ危ない橋を渡る必要はありません。
蛇口の水量は弱めにします。強い流水をリューズに直接当てるのは避けてください。
3. 石鹸水と柔らかいブラシで洗う
洗面器にぬるま湯をためて、石鹸か中性洗剤を少しだけ溶かします。泡立てる必要はありません。ブラシに含ませて、ブレスのコマの隙間と、ブレスの裏側(手首に当たる面)を中心にこすります。
汚れがたまるのは決まって同じ場所です。コマとコマのつなぎ目、バックルの内側、ケースとブレスが接するラグの付け根。この3か所を意識するだけで、仕上がりがだいぶ変わります。
4. すすぐ
石鹸が残ると、乾いたときに白い筋になって残ります。とくにコマの隙間は、すすいだつもりでも残りやすいところです。ぬるま湯をかけながらブレスを軽く曲げ伸ばしして、隙間の中の水を入れ替えます。
5. 水気を拭き取る
マイクロファイバークロスで押さえるように拭きます。ゴシゴシこすると、細かい砂が残っていた場合にそれが研磨剤になって、ヘアラインを傷めます。押し当てて水を吸わせるイメージです。
6. 一晩乾かす
拭いた直後は乾いたように見えますが、コマの中に入った水はすぐには抜けません。風通しのいいところに一晩置きます。ドライヤーの温風は当てないでください。2の理由と同じです。
翌朝、バックルを開いてブレスを振ってみて、水が飛んでこなければ完了です。乾ききる前にケースにしまうと、箱の中で湿気がこもります。時計とケースの両方に良くありません。
洗う場所は、洗面台よりキッチンのシンクを勧めます
手順には出てこないのですが、これが地味に大事でした。洗面台の排水口は穴が開いています。時計そのものを落とすことはまずないとしても、バックルを開いたときの弾みや、外したコマが吸い込まれる可能性があります。
キッチンのシンクなら排水口にカゴがあるので、落ちてもそこで止まります。シンクの底にタオルを1枚敷いておくと、手が滑ったときに時計がステンレスに直接ぶつかりません。洗うために傷をつけたら本末転倒です。
洗面台でやるなら、栓を閉めてからにしてください。
ブレスを本体から外して洗うべきか
ブレスを外せば、ラグの内側やエンドピースの裏といった、普段は絶対に手が届かないところまで洗えます。汚れがいちばん溜まるのも、じつはこのあたりです。
ただ、自分で外すのは勧めません。ばね棒外しをラグの隙間に差し込む作業で、工具が滑ってケース側面に線傷を入れる事故がよくあります。しかも傷が入るのは、ちょうど目につきやすい面です。汚れを落とすために傷を作るのでは意味がありません。
ブレスを外した状態での洗浄が必要だと感じたら、そこが正規店に出すタイミングだと考えています。
用意するものは、たいてい家にあります
専用品を買い足す必要はほとんどありません。
- マイクロファイバークロス:メガネ拭きで代用できます。100円ショップのもので問題ありません
- 柔らかいブラシ:毛先の柔らかい歯ブラシで足ります。「ふつう」より「やわらかめ」を選んでください
- 石鹸か中性洗剤:食器用の中性洗剤でも、固形石鹸でも構いません
セーム革を勧めている記事が多くて、自分も買うべきか迷いました。革が金属を傷めにくいのは事実ですが、公式が名指ししているのはマイクロファイバークロスのほうです。持っていないなら、まずメガネ拭きで始めて構わないと思います。
爪楊枝でコマの隙間をほじる方法もよく紹介されています。効果はあるはずですが、硬いものを金属の隙間に差し込む以上、力加減を間違えれば傷が残ります。やるとしても木製のものを、引っかいて汚れを掻き出すのではなく、当てて浮かせる程度にとどめます。
やってはいけないことのほうが大事です
手順そのものは単純なので、覚えるべきは禁止事項のほうだと思っています。
研磨剤の入った洗剤・歯磨き粉
曇りを取るつもりで歯磨き粉を使う方法がときどき紹介されます。研磨剤が入っているものは使わないでください。光ったように見えるのは、表面を薄く削っているからです。ロレックスの外装は鏡面とヘアラインが面ごとに作り分けられているので、素人が全体を均一に削ると、その作り分けが消えます。公式が案内しているのは石鹸水だけです。
家庭用の超音波洗浄機
これがいちばん判断に迷いました。というのも、ロレックス自身がオーバーホールの説明の中で、部品を超音波洗浄すると書いているからです。公式がやっているなら家でもいいのでは、と一瞬思いました。
ただ、よく読むと前提が違います。公式の超音波洗浄は時計を完全に分解したうえで、部品ひとつずつに対して行うものです。組み上がった時計をまるごと槽に沈める話ではありません。
組んだままの時計に超音波をかけると、振動がケースの内側まで届きます。テンプの緩急針のように、位置が決まっていて動いてほしくない部品にも振動は伝わります。ブレスを本体から外さずに超音波洗浄機に入れるのは、やらないほうがいいです。どうしてもやりたい場合は、ブレスだけを外して単体で洗うのが最低条件になります。

公式が同じ言葉を使っているからといって、同じことをしていいとは限らないんですよね。ここは自分もあやうく勘違いするところでした。
風防が曇ったら、その場でやめる
洗っている途中でガラスの内側が白くくもってきたら、水が入っています。すぐに水を止めて、乾いたクロスで外側を拭き、それ以上は何もせずに正規店へ持っていってください。ドライヤーで乾かそうとすると、内部の水分が回って事態が悪化します。
金無垢・コンビモデルと年代物は別扱い
金は柔らかい金属なので、ステンレスと同じ力でブラシをかけると目立つ傷が入ります。それから、製造から何十年もたっているアンティークは、防水性能が実質的に残っていないものとして扱うのが安全です。どちらも水洗いは避けて、拭くだけにしておきます。
シャワー・海・温泉はどこまで大丈夫か
洗浄の話をしていると、必ず「じゃあ風呂はどうなの」という疑問にぶつかります。ここは公式がはっきり書いている部分と、まったく触れていない部分に分かれます。

公式がはっきり大丈夫と書いていること
オイスター パーペチュアルコレクションのモデルは、少なくとも水深100メートルまでの防水性能を持つ、と公式に書かれています。パーペチュアル 1908だけは50メートルです。1,220メートルや3,900メートルという桁のモデルもあります。
そのうえで公式は、海やビーチで過ごしたあとは真水で塩と砂を洗い落とすように指示しています。これは「洗ってもいい」ではなく「洗ってください」です。塩分を残すほうが問題だという立場だと読めます。
シャワーについても書かれていて、「着用したままシャワーを浴びれば大丈夫」とあります(rolex.com「ロレックスのお手入れ」より)。ネット上には「シャワーはNG」という記述も多いのですが、公式の見解はこちらです。スポーツやジムでの着用についても、オイスターケースが衝撃から守ると書かれています。
公式が触れていないこと
温泉、サウナ、熱い風呂。この3つについて、公式サイトには記述が見つかりませんでした。書いていないだけで、禁止されているわけではありません。ただ、書いていない以上は自己判断の領域になります。
自分が避けたほうがいいと考えている理由は2つあります。ひとつは温度です。サウナの室温は80度を超えます。パッキンにとっては水よりも熱のほうがきついはずです。もうひとつは硫黄で、金属を変色させることが知られています。
温泉とサウナは、時計を外してロッカーに置くほうを選びます。盗難のリスクと天秤にはなるのですが、それは別の話として考えることにしました。
洗う頻度に、決まった正解はありません
公式は「定期的に」としか書いていません。何ヶ月に1回という数字は示されていません。
これは不親切ではなくて、使い方で変わるからだと思います。毎日着けて汗をかく人と、週末だけの人では、汚れる速さが違います。同じ人でも夏と冬では違います。
数字がないので、自分は状態で決めることにしました。判断の目安はこの3つです。
- バックルの内側や、ブレスの裏側が黒っぽくなってきたとき
- 海やプールに入った日(これは当日中に真水で流します)
- 汗をかいた日が続いたあと
逆に、毎週きっちり洗うようなことはしていません。洗う回数が増えれば、それだけリューズを触る回数も増えます。リューズの操作は、増やすほど締め忘れの確率が上がります。頻度を上げることが安全だとは限らない、というのが今のところの結論です。
日常的には、外したときにクロスで一拭きするだけで十分足ります。
洗っても直らない症状は、汚れではありません
汚れを落とせば気になっていたことが解決する、とは限りません。洗浄では手の届かない症状を、先に切り分けておきます。
ブレスのガタつき
ブレスを持って軽く振ると、カチャカチャと音がします。これは汚れではなく、コマをつないでいるピンやブッシュが摩耗して、隙間が広がった状態です。いわゆるブレスの伸びで、洗っても締まりません。
この状態のまま使い続けると、遊びのある部分に負荷が集中して、最後はコマが外れます。時計そのものを落とすことになるので、音が気になり始めたら正規店で見てもらったほうがいいです。
風防の内側の曇りや、文字盤のシミ
外側をどれだけ磨いても取れない曇りは、ケースの中に水分か湿気が入っています。これは洗浄の対象ではなく、修理の対象です。文字盤に出たシミも同じで、外装のクリーニングでは触れません。
時間が合わなくなってきた
精度は汚れとは無関係です。公式も、進み遅れについては正規品販売店かサービスセンターに相談するように案内しています。洗ってから精度が変わったように感じる場合は、洗ったこと自体よりも、リューズを何度も操作したことのほうを疑ったほうがいいかもしれません。
洗っても落ちないものは、洗浄では落ちません
ここを混同すると、洗ってもがっかりすることになります。傷と汚れは別物です。

洗浄で落ちるのは、皮脂・汗・ほこり・砂といった、表面に乗っているものだけです。ケースやブレスに入った線傷は、どれだけ丁寧に洗っても消えません。
傷を消したい場合は研磨(新品仕上げ)になります。公式は、ケースとブレスレットの研磨仕上げはサービスセンターに依頼するように案内しています。そして研磨は削る作業なので、やるたびにケースは薄くなります。角の立ったエッジは丸くなり、元には戻りません。売却を考えている場合、研磨歴が評価に影響することもあります。
オーバーホールはさらに別です。公式によれば、時計を完全に分解して全部品を超音波洗浄し、基準を満たさない部品を純正品に交換して注油と調整を行い、最後に防水・巻き上げ・精度の検査をします。ケースとブレスの研磨仕上げもここに含まれます。作業日数は約1カ月と公式に書かれています。
つまり、自宅の洗浄でできるのは3つのうちのいちばん外側だけです。それを分かったうえでやるぶんには、費用もかからず手元を離れることもないので、やる価値はあると思っています。
正規店の洗浄サービスに出すという手があります
自宅で洗うことにこだわる理由は、実はそんなにありません。正規店では洗浄を受け付けていて、ブレスを本体から外して内側まで洗ってもらえます。ここは自宅では届かない範囲です。

無料で対応してもらえる場合があると案内している店もありますが、条件も日数も店によって違うようでした。ここは自分で全店に確認したわけではないので、断定は避けます。行きつけの正規店があるなら、次に立ち寄ったときに聞いてみるのがいちばん早いです。
マラソン中に何度も店に通った経験から言うと、こういう質問は歓迎されます。在庫を聞くだけの客より、アフターの話をする客のほうが、店の人も話しやすそうでした。
デメリットは、時計が手元を離れることです。1本しか持っていない場合、その間は着けられません。急ぎでないタイミングを選ぶ必要があります。
レザーストラップは、同じようには洗えません
公式が石鹸水と柔らかいブラシで洗えると言っているのは、ケースと金属製ブレスレットについてです。レザーストラップは、はっきり除外されています。
革は水を吸って硬くなり、そのまま曲げ伸ばしされると割れます。汗を吸い込んだ革ストラップは、洗って蘇らせるものではなく、消耗品として交換するものだと考えたほうがいいです。
ラバー素材のオイスターフレックスについては、公式のお手入れページに個別の記述を見つけられませんでした。金属ブレスと同じ扱いでいいのかは、正規店で確認するのが確実です。
自分で洗う人と、正規店に任せたほうがいい人
ここまでの内容を、判断しやすい形に分けておきます。
まとめ
調べ始める前は、高級時計だから特別な作法があるのだろうと身構えていました。実際に公式を読んでみたら、石鹸水と柔らかいブラシで洗えます、とだけ書いてありました。拍子抜けしたというのが正直な感想です。
身構えるべきなのは洗い方ではなく、洗う前の状態確認のほうでした。リューズが最後までねじ込めているか。オーバーホールから何年たっているか。この2つさえ押さえておけば、あとは手順どおりに進めるだけです。
自分はまだオーバーホールを出していないので、防水性能がどこまで残っているかを確かめるところから始めるつもりです。買ったあとのロレックスをどう扱うかという話では、ロレックスの付属品は何を残せばいいのかでも保管の話を書きました。あわせて読んでいただけるとうれしいです。









