【20000mAhでも3回】モバイルバッテリーの容量の目安を、Wh換算で計算し直した

20000mAhのモバイルバッテリーなのに、スマホを3回充電したら空になったという話をよく見かけます。数字が嘘なのか、それとも使い方の問題なのか。気になったので計算し直しました。
先に結論だけ書きます。20000mAhのモバイルバッテリーがスマホに渡せるのは、だいたい50Wh分です。公称の3分の2しかありません。嘘をついているわけではなくて、mAhという単位がバッテリーの中身の話で、スマホに届く量ではないというだけです。
私の場合だと以下のバッテリーを使ってるんですが2回目は満タンにはならないですねー
スマホはiphone 15 pro maxを使ってます
でも2回目はフル充電できなくても充電できる状態にはなってるんで結構必要十分ではあります
なので容量の目安を考えるときは、mAhを見るのをやめてWhで見ます。この記事はその計算過程と、容量別に何回充電できるかの早見表です。
- 20000mAhのうち、スマホに実際に入るのは何Whか
- 公称容量が6割まで削られる2つの場所
- 5000/10000/20000/27000mAhで、スマホを何回フル充電できるか
- 飛行機に持ち込める上限が27000mAhあたりで止まる理由

20000mAhでスマホに入るのは、約50Wh分です
計算は3行で終わります。
- 20000mAh × 3.7V = 74Wh(セルが持っている電力量)
- 74Wh × 90% = 66.6Wh(5Vへ昇圧するときのロス分を差し引き)
- 66.6Wh × 75% = 約50Wh(スマホ側の充電回路のロス分を差し引き)
20000mAhはセルの電力量に直すと74Whです。この74Whがスタート地点で、そこから2回削られて50Whになります。効率の数字は製品によって前後しますが、合わせて65〜70%というのがよく言われるところです。
ここで大事なのは、公称のmAhとスマホのmAhを直接くらべても答えは出ないということです。iPhoneのバッテリーが3,600mAhだから20000÷3600で5.5回、という計算をしたくなりますが、この割り算は成立しません。

自分もずっとmAh同士で割っていました。単位は同じなのに、比べてはいけない数字だったんですよね。
なぜ公称容量の6割しか使えないのか
mAhは電圧を無視した単位だからです
mAhは「何アンペアの電流を何時間流せるか」を表しているだけで、電圧の情報が入っていません。水にたとえると、流れる量だけを書いて水圧を書いていない状態です。だから電圧の違うもの同士を、mAhのまま比べられません。
モバイルバッテリーの中のリチウムセルは3.7V、スマホのバッテリーも同じくらいです。ここだけ見ると比べられそうに思えます。ところがUSBで外に出す瞬間に5Vへ持ち上げられるので、そこで数字の意味が変わります。20000mAhというのは3.7Vのときの話で、5Vで数え直すと14800mAh相当まで落ちます。
削られる場所は昇圧と充電回路の2か所です
1か所目が、いま書いた3.7Vから5Vへの昇圧です。回路を通すぶんの熱が出るので、ここで1割前後が消えます。2か所目がスマホ側で、受け取った5Vをまた3.7Vくらいに落としてセルに流し込みます。ここでもう2割から3割が熱になります。この2か所で捨てられるぶんが、全体の3分の1近くあります。
冬に外で使うともう少し落ちます。リチウムイオン電池は低温だと内部抵抗が上がるので、同じ製品でも取り出せる量が減ります。真夏の車内に置きっぱなしにするのも、劣化を早めるという意味で最悪です。

つまり数字が減っているのではなく、最初から違う単位のものを同じ物差しで見ていた、という話でした。
容量別に、スマホを何回フル充電できるか

スマホ側の電力量は、小型のもので約13.8Wh(3,600mAh前後)、6.7インチクラスの大画面で約19.4Wh(5,000mAh前後)です。さっきの実効50Whを、この数字で割ったのが上のグラフです。
20000mAhのところを見ると、小型のスマホなら3.6回、大画面のスマホなら2.6回が計算上の上限です。「20000mAhなのに3回で終わった」というのは、故障でも不良品でもなく、そういうものだったわけです。
10000mAhだと1.3回から1.8回。1泊の外出で1回充電できれば十分という人には、これで足ります。5000mAhは1回に届きません。0.6回から0.9回なので、残量30%からのつなぎ、という位置づけになります。
では何mAhを買えばいいのか
用途で決めます。回数から逆算すると、そんなに悩む必要はありませんでした。
3つ目に当てはまるなら、モバイルバッテリーではなくポータブル電源の領域です。20000mAhは74Wh、ポータブル電源の入門機はだいたい200Whからなので、そもそも桁が違います。

大は小を兼ねると思って一番大きいのを選びがちですが、重さと持ち込み制限がついてくるので、そこは分けて考えた方がよさそうです。
27000mAhより上を選ぶと、飛行機に持ち込めなくなります
容量を上げていくと、途中で法律側の壁にぶつかります。100Whを超えると、航空会社の承認なしには機内へ持ち込めません。160Whを超えるものは、承認を取っても持ち込めません。預け入れ荷物に入れるのは容量にかかわらず禁止です。
この100Whをさっきの式に当てはめると、100 ÷ 3.7 = 約27000mAhになります。27000mAhでちょうど99.9Wh、ぎりぎり制限の内側です。市販のモバイルバッテリーが26800mAhや27000mAhで打ち止めになっていて、その上がいきなり無くなるのは、この線があるからでした。
自分の手持ちが何Whなのかは、本体の裏に小さく印字されています。mAhだけ大きく書いてWhが読めないほど小さい製品もありますが、必ずどこかに書いてあります。空港で聞かれるのはWhの方です。
まとめ
20000mAhでスマホ3回というのは、削られた後の正しい姿でした。mAhを信じて5回分だと思っていた自分の計算が、単純に間違っていただけです。
選ぶときはmAhではなく、本体に小さく書かれたWhを見てください。Whが分かれば、スマホの電力量で割るだけで回数が出ます。目安としては、1泊なら37Wh(10000mAh)、2泊や複数台なら74Wh(20000mAh)、それ以上ほしくなったらポータブル電源へ、という切り分けになります。
次に買い替えるときは、容量の数字より先に裏面のWh表記を見ることにします。





