【提出だけスマホ】青色申告はどこまでスマホで終わるのか|記帳はパソコンのままでいい

「青色申告はスマホだけでできる」という説明を読むと、帳簿づけから提出まで指1本で片付くように見えます。実際にやると、ここは2つに割れます。
僕は帳簿をマネーフォワード クラウド確定申告でつけていて、入力はパソコンです。スマホを持つのは最後の提出のときだけでした。申告書の作成と送信に限れば、スマホだけで終わります。
スマホで終わる工程と、パソコンに残る工程。その線引きから書きます。
- 確定申告のどの工程がスマホだけで終わるのか
- 記帳をパソコンでやっても65万円控除が減らない理由
- 控除が55万円変わると税金がいくら変わるのか(税率別の金額)
- スマホでは手が出せない、申告より前の2つの手続き

結論:スマホで終わるのは、申告書の作成と送信です
国税庁の「確定申告書等作成コーナー」は、令和6年分の申告から所得税のすべての画面がスマホ向けに作り直されました。青色申告決算書も貸借対照表もスマホの画面で入力でき、そのままe-Taxで送信できます。事業所得をスマホの専用画面で申告できるのは、決算書もこの作成コーナーで作った場合に限られます。
必要なものは、マイナンバーカードと、それを読み取れるスマホと、パスワード2種類です。利用者証明用の数字4桁と、署名用の英数字6文字以上のほう。この2つを忘れていると、そこで止まります。

カードリーダーを買わなくていいのは地味に効きます。2,000円弱とはいえ、年1回のために買う機械ほど無駄なものはないので。
僕の場合は、記帳がパソコンで提出がスマホでした
帳簿はマネーフォワード クラウド確定申告で、パソコンから入力しています。銀行口座とカードを連携させて、流れてきた明細に科目を当てていく作業です。明細が数十行並ぶ画面をスマホでさばくのは、僕には無理でした。科目の付け間違いに気づけません。
そのかわり、提出のほうは早く終わります。決算書の数字が出そろっていれば、あとは作成コーナーに転記して送るだけです。座ったままマイナンバーカードを読み取って完了しました。
スマホが効くのは、作業量が少ない最後の工程だけです。ここを「青色申告がスマホで完結する」と読むと、記帳の重さがまるごと抜け落ちます。
僕が半日を溶かしたのは、申告ではなく廃業届でした
個人事業を廃業したとき、e-Taxのどこから何を出せばいいのかが分からず、半日を潰しました。そのときの手順は廃業届をe-taxでオンライン提出する方法にまとめてあります。
詰まった理由は、いま振り返るとはっきりしています。e-Taxという名前で呼ばれているものが1つではなかったからでした。確定申告に使う「確定申告書等作成コーナー」と、届出書を出す「e-Taxソフト」は別物で、スマホで動く範囲もそれぞれ違います。廃業届はパソコンにインストールするe-Taxソフトでないと出せず、スマホだけでは提出できません。
この違いを知らないまま「e-Taxはスマホでできる」という記事を読むと、出せない書類の前で固まることになります。僕がやったのがそれでした。
65万円控除の条件のうち、スマホで満たせるのは1つだけ
青色申告特別控除が65万円になる条件は、次のとおりです。
- 事業所得(または事業的規模の不動産所得)があること
- 複式簿記で記帳していること
- 損益計算書と貸借対照表を添付すること
- 期限内に申告すること
- e-Taxで申告するか、優良な電子帳簿保存をしていること
最後の1つが2020年分から加わった条件で、これを満たさないと55万円に下がります。スマホの作成コーナーから送信すればe-Tax申告になるので、この条件はスマホだけで満たせます。控除のために新しくソフトを買う必要はありません。
記帳がパソコンでも、控除は1円も減りません
引っかかるのは2番目の複式簿記です。作成コーナーが受け取るのは、帳簿から集計し終わった数字だけになります。売上がいくら、経費の内訳がいくら、期末の現金と預金がいくら。その数字を作る作業は、作成コーナーの機能ではありません。
帳簿をつけていない状態でスマホを開いても、65万円控除の入り口には立てません。マネーフォワードのような会計ソフトを使うか、自分で仕訳を積むか、どちらかを先に終わらせておく必要があります。控除の条件は「複式簿記かどうか」なので、記帳をパソコンでやったからといって金額は変わりません。道具は工程ごとに分けて構いません。
1日遅れると、控除は10万円になります
期限内申告も条件に入っています。3月16日に出した時点で65万円控除も55万円控除も消えて、10万円になります。記帳を完璧にやっていても、送信ボタンを押すのが1日遅れただけで55万円ぶんの控除が飛びます。スマホで出せるようになったぶん、前日でも間に合うと油断しやすいところだと思います。
控除が55万円変わると、税金はいくら変わるのか

65万円控除と10万円控除の差は55万円です。この55万円がそのまま課税所得から引かれるので、税負担の差は「55万円 × 適用される税率」で概算できます。所得税に住民税10%を足して計算しました。
- 課税所得195万円以下(所得税5%+住民税10%):約82,500円
- 195万〜330万円(10%+10%):約110,000円
- 330万〜695万円(20%+10%):約165,000円
- 695万〜900万円(23%+10%):約181,500円
課税所得330万〜695万円の人なら、1年で約165,000円の差になります。国民健康保険料も所得に応じて決まるので、実際の差はもう少し開きます。復興特別所得税の2.1%は入れていない概算です。

会計ソフトの利用料を引いても、手元にはだいぶ残る計算でした。僕が記帳をソフトに任せているのは、正直これが理由です。
スマホでは出せない、申告より前の2つ
作成コーナーの守備範囲は確定申告です。事業の届出はそこに入っていません。
青色申告承認申請書のほうが影響は大きいです。申請を出し忘れた年は、複式簿記で完璧に記帳していても控除は0円です。3月15日を過ぎた時点で、その年ぶんは取り返せません。翌年からの適用になります。
開業届と廃業届は、僕が半日を溶かしたほうです。頻度が低い手続きなので、そのつど調べ直すことになります。
提出だけスマホでいい人、最初からパソコンを開く人
スマホは入力そのものより、確認がしづらいところが弱点だと思います。数字が合っているかを見比べる作業は、画面が広いほど楽になります。僕が記帳をパソコンに置いたままにしているのも、突き詰めるとそこです。
まとめ
青色申告でスマホだけで終わるのは、申告書の作成と送信です。65万円控除も、スマホから送れば要件を満たせます。
記帳はパソコンのままで構いません。僕もマネーフォワード クラウド確定申告をパソコンで開いて、提出のときだけスマホに持ち替えていました。道具を分けても控除は減りません。
止まるのは申告の当日ではなく、その手前です。記帳と、青色申告承認申請書。この2つが片付いていないと、スマホを開いても先に進めません。
今日やるなら、まず青色申告承認申請書を出しているかを確認してください。出していなければ、来年3月15日までに出せば来年ぶんから間に合います。届出の出し方でつまずいたときは、廃業届をe-taxでオンライン提出する方法に手順を書いてあるので、そちらが近道になると思います。
なお、控除額や適用の判断は事業の状況で変わります。金額が大きくなりそうなときは、国税庁の案内か税務署で確認してください。




