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【変わらない原則】システムづくりの人間学【感想・レビュー・まとめ】

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書籍情報

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書名:システムづくりの人間学

著者名:G M ワインバーク

出版社:共立出版

書評

どんな本?

システム開発に関わる人であれば、誰しもが設計の方法や構築方法について理論を学び、それを実践していることと思います。しかし、現実には人間が関わっている限りすべて理論通りには行きません。

本書では、そのような人間が及ぼすシステムへの影響について広い視点を提供してくれる本です。 人間は必ず誤解や思い込みなどの要因によってイレギュラーを発生させます。本書ではそれらの理論的でないイレギュラーがシステム開発においてどれほど重大な影響及ぼすかを教えてくれます。
また各章の最後には具が用意されており、ユーモアを交えつつ学ぶことができます。

翻訳書が発売されたのは1986年なので現在でおよそ40年前の本となりますが、
現在でも通じる教えが本書には記されています。

読んだきっかけ

ちゅけ

100人のプロが選んだソフトウェア開発の名著に記載があった本

株式会社テックバイザージェイピー代表の栗原潔さんが選出しており30年以上変わらない原則について学んでみたいと思ったことがきっかけです!

良かった点・悪かった点

  • エッセイ集なので具体的なプログラミング言語を知らなくても読むことができる
  • 各章の末に寓話としてその章の内容をまとめている部分があるので覚えやすい
  • 40年前から現代に通ずるシステム開発にまつわる原則を学ぶことができる
  • 書かれたのが古いので1部の単語が古く理解がちょっと難しい

私が実践していること・感想

本書では40年前から変わらないシステム開発における人間が犯す過ちについて学びました。

特に印象的だった章を三つ抜粋して要約します。

第1章の内容は「1つの手法で全てを賄うことはできない」と言う教訓です。 こちらは人間の神話で語られている「銀の弾丸は無い」と言う原則にも当てはまると思いました。 実際に開発をしている際にも確かに1つの仕方で全てを解決することはできず、それは幻想でしかないと言うことに改めて気づかさせてくれます。

4章では設計の作業においては顧客が知っている事しか話してくれないため、システム設計を行う者は相手が何をしたいのか何がわかっていないのかを把握し、それについて自分自身が理解し、相手に対して理解を求めながら設計を進めなければ本当にいいシステムはできないと言うことを教えてくれます。

5章では、「設計を理解した人々が設計者を助けるとは限らないが、理解していないものが邪魔をするのは確定している」と言う原則について説明しています。エンジニアの皆さんであれば実務を通して十分に意味に染みて感じているはずです。

4章、5章に関しては、設計業務を行う際には顧客が話しているものをそのまま作るだけでは、顧客自身が 本当は何が欲しいのかをわかっていないため 設計者は顧客自身がわかっていない部分に関しても、理解できるように顧客に対しインタビューをしなければいけないと私自身は理解しました。

他の本でも触れられている「原則」系の本と概ね内容は同じだと私は思いました。

こんな人におすすめ!

  • システム開発に携わっており、ある程度慣れてきた人
  • システム開発で難しい場面に立ち会っており、
    どのように振る舞うべきか知りたい人
  • システム開発における「原則」系の本を他にも読んだことがあり
    それらの原則が他の本でいかに語られているかを確かめたい人

総評

個人的評価

ちゅけ

システム開発において、人間がどのようなイレギュラーを生み出すのかまたそれに対してどのように向き合うべきかを教えてくれる本。

開発におけるイレギュラーの種類とその要因には人間による特性が影響していると言うことを知ることができます。

他の本と共通した内容が書いてあるので「原則」系の本を読んだことがあって共通点を知りたい人にはおすすめです。

初めてだと内容が少し冗長なので飽きてしまうかも。

気になったらぜひ読んでみてね😆